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零れ落ちる、それはカップのせいだった。


以前はよく来ていたけど、最近はめっきり。

そんなお店のことはいつも気になっている。

青山にあるカフェ。

通りがかったので10年弱ぶりで寄ってみた。

ここのコーヒーはよく思い浮かべていた。

舌の上に触れた後、舌の両脇からまわりこみ、

口の中に広がっていく。

なんじゃそりゃ。

そういう印象が残っているコーヒーを出してくれる。

そんなコーヒーはここ以外で出会ったことがない。

豆のせいでそんなことが起きるとは思えない、

美味しい(と言われる)豆(どうせあまりよく分からないから)を

買ってきてコーヒーを淹れるたび、美味しいけどあの店とは違う。(と感じていた)

先ほど、少しの恐い気持ちもありながら、

ひとくち目。やはり回り込んできて、口全体に広がった。

実際、あまり深く考えたことはなかったが、

それは豆のせいではなかったのだ。

カップの縁が----唇や舌に触れる部分が、少し厚めになっていて、

まだ熱いうちにそーっと飲むと、コーヒーがまず舌に触れる。

舌が下の口びるから離れ、カップの方に寄っているので、

液体は、舌に回り込んでくるのだ。

つまり、コーヒーのせいではなく、

カップの縁の形状のせいだったのだ。

長年の謎が解けた嬉しさと、

馴染みのカップがちょっと欠けちゃったような寂しさとをここにシェアしつつ

こう思う。

細々(こまごま)としたこういう文章って、

自分で書いといて何だけど、いちいち読んでられないよね。

 Konrad yuki hutter: 

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